読書が大好きです。
でも最近読むのはビジネス書ばかり。
それはそれで、面白くて為になってビジネスをする上では欠かせないとは思いますが、何か乾いた人生だなと思うこともあり。
そんなとき、一冊の本を手に取りました。
「語るに足る、ささやかな人生」というタイトルの本です。
「語るに足る、ささやかな人生」を読むと、旅に出たくなります。
この本は、著者の駒沢さんがアメリカの地図にも載っていないようなスモールタウンを車で旅する話です。
行く先々で、スモールタウンに住んでいる人たちにインタビューを行い、スモールタウンの生活や空気感、住人たちの人生を淡々と描いていきます。
別に驚くほどのサクセスストーリーがある訳でもなく、かといって絶望するような悲しい物語がある訳でもない。それこそ語るに足らないような、小さな物語が綴られていきます。
ぼくはあまり旅関連の本は読みません。
正直、他人の旅の話を読んでも面白いとあまり思えないし、自分が旅をするようになってからは「本の中の誰かの旅」よりも「自分自身の旅」の方が面白かったからです。(ちなみに18の頃に「深夜特急」を読みかなり影響を受けました。)
しかし、この「語るに足る、ささやかな人生」はよかった。旅先でのささやかな出会いと別れの物語に惹きいられ、読んでいるうちにまた長い旅に出たくなりました。
著者のホテルへの姿勢もまた面白い
車の旅なので、当然モーテル(モーテルは幹線道路沿いにある、自動車旅行者のための簡素なホテル。)が頻繁に登場します。そして駒沢さんのモーテルへの考え方がとても面白いです。
例えば、こんな一節が出てきます。
今やどこの田舎町にもモーテルのチェーンはあり、どこも同じようなユニフォームを着て、一律でインスタントな対応をしている。
(中略)
こうなった現象を好まない人は、確かに少なくはない。50年代を彷彿とさせる、往年のモーテルでなければモーテルとはいえないと言う人もいるし、選びようのない無個性さを「限りのない繰り返しは、人の心を蝕んでいく」と感じる人もいる。
(中略)
しかし僕は、そこにこそ、ある種の快感を感じ取っている。そしてそれは、きっと多くのアメリカ人にとってもそうなのではないかと思う。つまり「選ばなくていい」という快感である。
また、駒沢さんはこのようにも表現していて、
環境や状況が平坦であるだけに、その中に置かれた個々の内面は、相対的に屹立するのだ。諦念と紙一重の快感が、そこにはある。
(中略)
これだけ平凡にしかし確実に基本が押さえられていれば、むしろ自由のようなものを感じる。気にしなくて済むことから始まる解放、というのはこれだ。
豪華なホテルや歴史のある場所に泊まるよりも、ぼくはモーテルの方をずっと愛している。間違ってもチェーン店が個性を出すなどということは、今後もしてほしくない。
なるほどな、と。
チェーン店は個性を出すべきではない。
確かにそうかもしれません。
ファミレスのあの安心感や安定感は、無個性だからこそ感じられる価値ということですね。しかし、「相対的に屹立」って何かカッコいいし、よくもこんな表現思いつくなと、感心します。
終わりに
アマゾンで探してみると、現在驚くほど高値になっています。もう廃版になったのかな。
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