少しリノベーションのことを学びたいなと思い、アマゾンで「Renovation Case Study Book(リノベーションケーススタディ)」という本を購入しました。
結構分厚い本で、2500円ほどします。
読んでよかったなと思った本なので、ご紹介します。
リノベーションはイノベーションだ
この本のサブタイトルは「リノベーションはイノベーションだ」とあり、古い建物をただ取り壊すのではなく、それを価値のある存在だと認識し、有効活用する意味を、全国の41のリノベーション最新事例とともに説いています。
たしかに、日本の建築物の寿命は30〜40年と言われ、それが過ぎると無価値になり、取り壊し建て替えるケースが多いと聞きます。
しかしヨーロッパを見てみると、築100年を過ぎたような建築は、新築物件より価値があるとみなされています。日本では考えられないようなことですが、そんな古い物件が新しい物件の2倍や3倍の価格で取引されることもあるとか。
この本を読んでいて感じましたが、日本も築古物件をドンドン取り壊すのではなく、より生活者のニーズに答えた内外装やスタイルに変えることができれば、リノベーションという文化が根付く気がします。
そのためには、新築物件よりコストがかからない、耐震上問題ないなど、日本ならではの乗り越えなければならない問題もありそうですが。
リノベーションケーススタディで紹介されていた宿泊施設6つ
この本では、一般住宅や商業施設の他にも、ホテルや旅館をリノベーションした事例が6つ掲載されていました。どの宿泊施設も個性があって、古い建物の良さを活かした例をなっています。
ONOMICHI U2
「ONOMICHI U2」は広島県尾道市にある築71年の倉庫をリノベーションした複合施設です。
館内にはレストランやBARのほか、「HOTEL CYCLE」もあります。このホテルは、自転車に乗ったままチェックインできるという、なんとも変わったホテルです。しまなみ沿いにあるのでサイクリストには垂涎のホテルですね。
Hotel ANTEROOM Kyoto
「Hotel ANTEROOM Kyoto」は学生寮として使われていた築34年の建物をリノベーションしたホテルです。
ホテルや商業施設の企画・設計を行うUDSのもと、京都のアートやカルチャーを発信する、地域とつながりのあるホテルが誕生しました。
個人的には、アメリカの人気ブティックホテルであるACE HOTELみたいだなと思っています。
亀やHOURAI 1111号室
「亀や」は山形県湯野浜温泉にある江戸時代からつづく老舗の温泉旅館です。この建物の最上階部分を特別フロア「HOURAI」としてリノベーションしました。
部屋の中央にヒノキをワイルドに配置していて、その曲線とヒノキの柔らかな雰囲気が、昔ながらの温泉旅館と不思議と融合しています。
マスヤゲストハウス
「マスヤゲストハウス」は、長野県諏訪郡下諏訪町にあるゲストハウスです。
設計・施工はNui.も手掛けたmedicalaのアズノタダフミさん。築100年の古い木造旅館がバーやリビングを兼ね備えるオシャレなゲストハウスに変身しました。
木屋旅館
「木屋旅館」は愛媛県宇和島にある多くの著名人に愛された老舗の旅館です。
1995年に廃業しましたが、2012年にトランスジットジェネラルオフィスによってモダンに改装され、1日1組限定の高級旅館として生まれ変わりました。
2階の一部分が透明なアクリル板になっていて、階下から覗けるようになっています。かなり前衛的なデザインですが、ぼくも行ってみたい旅館のひとつ。
rock star hotel
「rock star hotel」は、大阪市西区にある雑居ビルをリノベーションした21部屋あるデザインホテルです。
コンセプトである「ロックスター」を全面に出したデザインが、今まで存在しなかったようなホテルの空間となっています。この突き抜けた感じがいいですね。そして普通の雑居ビルでも、リノベーションすればここまで雰囲気のある建物に変身するのだと驚きです。
終わりに
ヨーロッパと異なり、日本には地震をはじめとした自然災害のリスクがあります。
建物の老朽化とともに、古い建物を長期間使用するメリットが減少していくのは当然といえば当然なのかもしれません。
実際、何年か前に政府が築古のホテルや旅館事業者(大規模施設のみ)に対して、現行の耐震基準を満たすよう通達しました。耐震工事には莫大な費用が必要なため、多くの事業者が廃業していったと聞きます。
悲しいニュースですね。
コストが安く自然災害に強い、リノベーション技術が生まれれば良いのですが。
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