ゲストハウスをつくる

訪日外国人バックパッカーは古民家(町家)ゲストハウスを求めているのか?

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この問いが、ずっと僕の頭の中にありました。

というのも、古い歴史や生活文化が残る金沢でゲストハウスを開業するにあたり、宿泊する場所それ自体も金沢という街を感じられるような、古民家や町家的な建物が向いているのではないかとずっと考えていたからです。

ちなみに僕がゲストハウスの物件として選んだのは、鉄筋コンクリートの4階建て。金沢らしさは全くありません。

photo credit: Jumping on Mission Beach via photopin (license)

人は異文化を探求するために旅をするけれど、異文化に浸りきりすぎると疲れる

現時点で、前述の問いに対する結論を先に書くと「古民家である必要は全くない」です。

旅人は自国と異なる文化や歴史・自然を探求するために旅をします。見たこともない景色に感動し、食べたことのない食事に舌鼓を打ち、言葉が通じない人とのコミュニケーションを楽しむ。

これこそがまさに旅の醍醐味です。

一方で、あまりに異文化に浸りきってしまうと、旅人は疲れてしまいます。

なんだか矛盾するようですが、旅先での旅人の行動は異文化と自文化の間をバランスを取りながら行き来しています。異文化に浸りきることもないし、言わずもがな異国にいるので自文化に居続けることは不可能です。

というか、異文化の中で異文化からの逃避行動を行うとでも言うのでしょうか。

ぼくは結構長い間海外を旅してましたが、時々日本人とのコミュケーションが取りたいがために日本人しか泊まらないような日本人宿に宿泊したり、日本食が恋しくて高いお金を払ってわざわざ日本食レストランに通ったこともありました。

いま振り返って考えてみれば、これも一種の異文化からの逃避行動です。異文化の中に居続けることが苦しいから、短期的にでも日本人宿や日本食レストランに逃げ込んだのです。

訪日外国人バックパッカーも逃避場所を探している

日本でもスタバやマックで息を抜く訪日外国人を見るたびに、彼らも一緒なんだなと思います。日本文化に浸りきる観光の合間に、少しでも自国文化が感じられるような場所で息を抜く。

宿に対してもそんな逃避場所としての機能を求めている外国人が多いのに最近気がつきました。

一度は畳の上に布団を敷いて寝てみたいけど、それが日本滞在中ずっとだと疲れてしまう。靴を脱いで日本家屋にあがる生活文化を体験してみたいけど、それが便利で心地よいかというとちょっと違う。

1日の観光の疲れを取るために、宿泊場所だけは自国と同じようなスタイルの宿泊施設に泊まりたいというニーズが確実にあることを感じています。

もちろんそうではなくて、どっぷりと日本家屋の日本スタイル宿泊施設に泊まりたいという層が存在するのは否定しませんが、特に欧米系の旅行者は日本との文化の差異が激しいだけに、この傾向が顕著な気がします。

終わりに

うちのホステルは鉄筋4階建てで、共有スペースの壁が鮮やかなブルーで塗ってあるので、一見日本らしいところはあまりありませんが、実はあえて3階にある和室だけは改装前の状態のまま残してあります。

今のところ、この和室のお部屋の稼働率が一番高いので、全然ぼくの考え方が間違っているのかもしれませんが・・

ってここまで書いててやっぱり妄想かもしれないと思い始めています。やっぱり古民家ゲストハウスとか泊まりたいですよね、きっと。

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