未分類

ACE HOTEL はどのように、ホテル産業にイノベーションを持ち込んだのか

ACE HOTEL
ホテルという場所が、「プライベートな空間」と「安眠できるベッド」だけを提供する時代が終わりを迎えています。

いま本当に尖っていて面白いホテルは、「地域のコミュニティハブ」としての役割を担い、様々な背景を持った人々が集まり交流するホテルです。

今日は、そんな時代の最先端にいるアメリカのホテルを紹介したいと思います。

ACE HOTELです。

エースホテル
Official site
http://www.acehotel.com/

ACE HOTELとは?

アメリカのシアトルに90年代終わりに生まれた「ACE HOTEL」は、現在ではポートランド・パームスプリングス・ニューヨーク・ロサンゼルス・ロンドン・パナマに店舗を構えています。

創業者であるAlex Calderwood(アレックス・コルダーウッド)は2013年9月に残念ながら亡くなってしまいましたが、彼がホスピタリティ産業に残したものは計り知れないと言われています。

ACE HOTELは所謂デザインホテル(ブティックホテル)に分類され、そのオシャレで遊び心のある空間は世界中の旅行者を惹き付けています。また同時に旅行者だけではなく、地元のアーティストやクリエイターからも絶大な支持を受け、彼らの創作アイデアが生まれる場としても機能しているようです。

ACE HOTEL

エースホテルはどのようにして、ホテルを再定義したか?

以下の文章は2013年9月にAlex Calderwoodが亡くなった直後、英紙「The Gurdian」に掲載された「How Ace Hotel redefined hospitality(エースホテルはどのようにして、ホテルを再定義したか?)」を訳したものです。

今週亡くなったエースホテルのカリスマ創業者アレックス·コルダーウッドは、デザイン界の外には知られていない存在かもしれません。しかしホスピタリティ産業に対する彼の新鮮な、型にはまらないアプローチは、ブティックホテルの新しいスタイルを確立しました。

ビンテージ家具、ストリートアート、大胆なタイポグラフィ、ビニールの古い木箱などなど...これらは現在、世界中の流行に敏感なバーやホテルで見ることができる装飾です。しかし1990年代後半、これらの特徴を兼ね備えたホテルは、相当に前衛的だった。

ACE HOTEL

アレックスコルダーウッドは、1999年にシアトルで最初のACE HOTELを作りました。デザイナーのエリックヘンツと協力して、海上労働者用の28室ある訓練施設を、古い家具と現代アートが点在したアーティストやクリエイターが集まる「場」として蘇らせたのだ。

しかし、ACE HOTELが先駆的だったのはデザインだけではなかった。
超豪華なスイートを持ちながらも、同時に共同バスルーム付きの手頃な料金の客室を提供したことにもあった。

世界中のヒップなブティックホテルを紹介するサイト「Mr & Mrs Smith」を運営するTamara Heber-Percyは以下のように述べている。

「コルダーウッドはホテル業界に真のイノベーションを起こした。今多くのホテルがACE HOTELに追いつこうと必死だ」

ACE HOTELが誕生して14年経った今でも、ACE HOTELは最も信頼のおけるブティックホテルと考えられている。

ACE HOTEL
コルダーウッドは、明らかに彼の様々な人生経験からインスピレーションを得ている。

ホテル業界に入る前に、彼はシアトルのパーティーシーンの熱心なメンバーだった。彼は大学に行っていないが、パーティーでの活動を通じてクリエイティブな人々の間で名声を得たのだ。

彼の最初の大きな成功は、90年代初頭に設立した「Rudy's barbershop」という理髪店だ。タイル張りの床、伝統的な理髪店の椅子を用いたオシャレな店は90年代後半になるまでに、10数店舗を持つまで拡大した。

その後コルダーウッドには新たな挑戦が必要だった。
そして彼はホテル産業に参入することを決めた。

1999年の1号店を皮切りに、2007年にはポートランドで2番目のACE HOTELをオープン。その後オレゴン、ニューヨーク、パームスプリングス、カリフォルニアに店舗を増やす。そして現在はロンドン、パナマシティとロサンゼルスにも新店をオープンしている。

ACE HOTEL

それぞれのホテルは、まるで自宅にいるような居心地を演出するため、地元企業と協力して、地域と溶け込むようなリノベーションを行い雰囲気作りを心がけている。

ロンドンのACE HOTELは、地元のデザイン会社であるUniversal Design Studioがデザインし、tokyobikeのカスタム自転車を借りることができたり、人気フラワーショップである「That Flower Shop」のテナントが入っている。

ガイドブック「Hip Hotels」の制作者Herbert Ypmaはこう述べている。

「ACE HOTELは業界の考え方を、根本的に変えた」

彼らは常に慣例を疑う様々な疑問を投げかけていると。

「共同で使うシャワーの何が悪いんだ?」
「ロビーはロビーとしてあるべきか?」
「そもそもロビーって必要かい?」

Ypmaはさらにこう続けている。

コルダーウッドは旅の中に、何かとてつもなく面白いものを発見した。

それは「人と人を繋げること」だ。

というもの、残念なホテルの中には、非常に豪華であるけれども、誰もができるだけお互いから離れて座っている - そのようなホテルが果たす役割は、人と人の距離を離すことであると。

彼は真のビジョンを持っていた。

それは、「ホテルという場所がただ単に部屋へ直行するような場所ではなく、長居したいと思える場所であるべきだ」と。

参照:How Ace Hotel redefined hospitality

まとめ

いかがだったでしょうか?

ただ観光地を巡ったり、ショッピングをするのではなく、暮らすように1つの街に滞在したり、ホテル自体が目的地になったりするような、旅のスタイルがこれから主流になるのかもしれません。

人と人を繋ぐ場所を備えたホテルが、これからのホテル業界のスタンダードになり、またゲストハウスではないけれど、そんな「場」を提供するデザインホテルがこれから増えてくるでしょう。

ちなみに日本でこのACE HOTELの流れをくんだデザインホテルは、東京目黒にある「CLASKA」や京都の「ANTHEROOM」などでしょうか?

All photo by ACE HOTEL

-未分類
-,