はい、Google Hotel Finderについて3エントリー目です。しつこくてすみません。
本日が最後です。
なぜGoogleはGoogle Hotel Finderに力を入れているのか、海外メディアを参考に考察してみました。
オンライン旅行会社とGoogleの蜜月も、遂に終わりを迎える
エクスペディアやBooking.comに代表されるオンライン旅行会社とGoogleは、長い間に渡って最高のパートナーでした。
Googleにとっては、それらのオンライン旅行会社はGoogleの広告サービスであるGoogle Adwardsの最大のお客様だったからです。
もちろん広告を大量に出しても、それでペイするから繰り返し広告を出す訳であって、オンライン旅行会社も広告を出すことでGoogle検索でのプレゼンスを高め、恩恵を得ていた訳です。
それが最近になって様子が変わってきました。
原因はスマートフォンの普及と、アプリの台頭です。
スマホシフトで、ホテル予約をアプリで完結させる時代に突入
スマートフォンがまだ世に出ていないデスクトップPCが主流の時代、ホテル予約の流れは以下のようでした。
Google検索で「街の名前 ホテル」で検索
↓
検索結果から適当なホテルのサイトをクリック or 広告をクリックしオンライン旅行会社のサイトへ
↓
ホテル予約
直接オンライン旅行会社のサイトへ行く場合もありましたが、まずどんなホテルがあるか検索するニーズが必ずありました。そのため、各オンライン旅行会社はGoogle Adwardsに対して大量の広告を出稿し、それらの検索者を獲得しようとしたのでした。
しかし、現在スマートフォンが広く普及したおかげで、かつてのようにGoogle検索を行わずとも、各オンライン旅行会社が提供しているアプリから簡単にホテルを予約することが可能になりました。
これで得をするのはオンライン旅行会社です。旅行者にアプリのダウンロードを促し、アプリ上でホテル予約を完結させることに成功すれば、もはやGoogle Adwardsに出稿する必要がなくなるからです。
ちなみに僕はBooking.comとHostelworld、Airbnbのアプリをダウンロードしていますが、3つともとても使いやすくホテルを予約する際はGoogle検索は一切使用せず、アプリ内で済ませることが多くなりました。
これで困ったのはGoogleです。
これまでの消費パターンがスマホの登場によって塗り替えられようとしているからです。
Photo by TheArches
満を持して登場のGoogle Hotel Finder
オンライン旅行会社のアプリ攻勢に対して、巨人Googleが繰り出した必殺技がGoogle Hotel Finderでした。
昨年Google Hotel Finderが登場した際は、単にGoogle+の情報を利用したホテル検索比較サイトとしてマーケットには冷淡に迎えられましたが(実際日本ではほとんど普及せず)、最近になって新しいサービスが次々と全貌を表すにつれ、Google Hotel Finderはオンライン旅行会社を叩きのめすためのサービスだということが分かりました。
新しいサービス「Limited Offers」とは?
例えば新しいサービスの1つ「Limited Offers」は、オンライン旅行会社に提供していない特別価格を、ホテルが直接もしくはホールセラーを通じてGoogle Hotel Finderで紹介できるようになりました。
通常Expediaなどはホテルから一番安い料金(BAR=Best Available Rate)をもらう代わりに、多くの送客を見込んでいますが、この「Limited Offers」の登場で、BARを保証できなくなる可能性があります。
上のイメージはW San Franciscoというホテルが、30%割引のオファーをGoogle Hotel Finderで提供した際のキャプチャ画面です。
新しいサービス「Captive demand platform」とは?
またもうすぐローンチされると言われている「Captive demand platform」は、Google史上最大の破壊的な一手だとされています。
この「Captive demand platform」とは、ホテルの巨大国際ブランドであるHiltonやマリオット、Starwoodなどが行っているリワードプログラムを、Google Hotel Finderに取り込んでしまおうというものです。
そしてGoogle MapやGmail、Google Wallet、Google Nowなどと連動させて、直接顧客に様々な利便性のあるオファーを提供することができるというものです。
ちょっと何だか分かり難いですが、おそらくGoogle Hotel Finderでホテルを予約したゲストは、Google Mapを利用して予約したホテルまで簡単に辿り着くことが出来たり、チェックインもGoogle Walletを使用してレセプションで待たずにすんだりと、いろいろシームレスなサービスなのでしょう。
それではGoogleに軍配があがるのか?
確かにオンライン旅行会社に取っては、今回のGoogle Hotel Fidnerの動きは脅威ですが、そうも簡単にGoogleに軍配が上がるかというと、そうでもないみたいです。
例えばBooking.comやTripAdvisorなどは多くの旅行者に既に絶大な支持を受け、アプリのダウンロード数も凄まじいものがあります。またこれまで蓄積したレビューの数や旅行者のプロフィールなどは、新参者のGoogle Hotel Finderには到底ないものです。
しばらくは、目が離せない主導権争いになりそうです。
終わりに
どこかに旅行に行く為に、ホテルや飛行機のチケットを購入するに至るまで人々が費やす時間は平均55分らしいです。
その55分の間に、私たちは17のWebサイトを訪れ、4つの広告をクリックし、なんと90%の人達がマルチデバイスで検索を行っているとか。。
いかに早く簡単に、旅行者が希望するホテルを一番低価格で提供できた会社が結局は勝つんでしょう。
参照:Evercore Equity Reserach (PDF 3.8 MB)
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