ゲストハウスクリエイターズノート

金沢でゲストハウス3軒を経営中。事業拡大につき、新メンバー募集しています。

秀逸すぎる!「東京へんぼり堂」から学ぶ、新しいゲストハウスのつくりかた

      2014/09/22

henborido
東京へんぼり堂というゲストハウスが昨年(2013年)東京都本土唯一の村「檜原村」にできました。

オーナーは鈴木健太郎さんという方。東京の有名IT会社チームラボを退社して、このゲストハウスを開業したそうです。
写真家・浅田政志さんが撮る「鈴木健太郎さん」(東京へんぼり堂)

先週鈴木さんが出ている講演会に参加して、へんぼり堂が完成するまでのいきさつを拝聴しました。そしてビックリしました。これは既存のゲストハウスの「つくりかた」ではないと。

ゲストハウス乱立時代を迎える中、これからゲストハウスを作ろうとしている人の参考になるかと思い、何がすごいと思ったのかちょっと書いてみます。

へんぼり堂のロケーションがすごい

東京へんぼり堂がある檜原村は、東京の新宿駅から電車とバスを乗り継いで、約2時間の距離にあります。

片道2時間って精神的に気軽に行けてしまいそうな距離です。都心に通勤しているサラリーマンで片道2時間近く電車に揺られている人もいるぐらいですから。

しかし日帰りでいくとなると、1日のうち4時間移動に費やしてしまうことになるので、それは辛い。しかも場所柄バスの本数も少ないし、終電の時間も早いそうです。

この気軽に行けてしまいそうで、でも日帰りではキツいから1泊してしまう、この距離感が絶妙です。

桧原村
そしてこの檜原村は東京都で唯一の「村」です。(ただし離島は除く)この「唯一の存在」に日本人って弱いですよね。正直東京の西側は奥多摩とか檜原村に負けないぐらい自然に囲まれた地域はあるのですが。

大都会東京に「村」があるのか?という驚きとギャップ。もうこれだけで行ってみたくなってしまいます。まさに東京で唯一の「村」というブランディング効果です。

へんぼり堂のコンセプトがすごい

へんぼり堂のコンセプトは「寺小屋」です。このゲストハウスを学びの場として提供しています。

毎週末に1泊2日のイベントを企画するそうです。ヨガや草木染め、英会話など。WEB上で講師を募り、それに興味がある人を集める。そして宿泊代込みで販売します。

販売方法もPeatixという簡単にイベントの管理、決済ができるプラットフォームを使用しています。

寺小屋

通常のゲストハウスの収益の源泉はベッドです。いかに空いているベッドを埋めるかが収益を左右します。一方へんぼり堂の場合はイベントなので、収益構造が全く異なります。

1泊2日のイベントが仮に宿泊費込みで10,000円の場合、20人集めたら20万円の売上です。売上は講師と折半するそうなのでへんぼり堂は2日間で10万円の売上。これを日帰りのイベントを織り交ぜながら行うと、別に平日に宿を閉めていても十分にお金が残るそうです。

へんぼり堂のメディアの使い方がすごい

鈴木さんが自身で桧原村の観光サイトをつくっちゃったみたいです。

小さな自治体の観光サイトってどこもショボイです。簡単な村の紹介と観光資源の案内で終わってしまうような、見ていて全然面白くないサイト。なので、じぶんたちで作ってしまって積極的に運用すれば、Googleで検索しても上位に表示されるようになるみたいです。

こちらが鈴木さんがつくった桧原村の観光サイト。
HINOHARA+

実際「桧原村」で検索すると4番目に出てきます。このサイトに来た人は100%、へんぼり堂のことを知ることになるので、効果絶大です。

またへんぼり堂はSNSを上手に運用しています。

ゲストハウスの開業前にFacebookのファンページをつくり、そこでリノベーションを作ってくれる人を募集したそうです。その結果3ヶ月半かかった改装で手伝ってくれた人、なんと、、

300人!

物件を改装する際、じぶんたちの友人知人を集めてコストをかけず、逆に時間をかけて改装する場合は多いと聞きますが、コレだけの人数を短期間に集めたのはさすがにSNSの力だと思います。

ゲストハウスを改装する

また鈴木さん曰く、この手伝ってくれた300人は開業後の見込み顧客ですと。当然興味があって無償で手伝ってくれた訳ですから、オープン後はじぶんで作ったゲストハウスに泊まってみたいと思いますよね。愛着がわくので、友人知人に自慢したり、Facebookやtwitterで投稿したりするだろうし。

開業前の最高のプロモーションです。

結局へんぼり堂オープン時点でFacebookのいいね!数は2,000ほど集まったようです。twitterでの情報提供も毎日のように行っており、オープン後のSNS運用もぜひ参考にしたいです。

圧倒的に低コスト

へんぼり堂の家賃は月2万円。これに水道光熱費を入れると、3〜4万円。大きな都市部の中心ではもちろん考えられない家賃ですが、地方の空き家は探せばコレくらいの家賃で貸してくれる家主もいるそうです。

もちろん空き家なので、長年使われていないとなれば相当に躯体が傷んでいる場合があり、プロにお願いすると1000万以上の修理費がかかってしまうようです。

そこで鈴木さんは前述の通りFacebookを使って人を集め、最終的には200万弱くらいのコストで改修を行ったそうです。この200万の中には改修に必要な器具が含まれているそうで、次回もう1軒つくる場合は100万円以下に抑えることができるだろうと話しています。

月のランニングコストが4万円、初期投資が200万となれば、毎日ベッドを埋めるためにあくせく汗を流す必要もないし、楽しくゲストハウスの運営ができますね。

まとめ

最近本当にゲストハウスが日本全国に続々とオープンしています。開業に至るまでの道のりは様々ですが、へんぼり堂の鈴木さんのようなケースは初めてなのかと思い、ちょっと長々と書いてみました。

「東京近郊のど田舎の村」x「学びの場」X「SNS」x「超低コスト」

この戦略は個人的には秀逸すぎると思ってます。

これからゲストハウスを開業したい方はぜひ参考にしたいですね。実際、鈴木さんのもとに弟子入り(?)した方たちが、これから千葉県や山梨県、札幌などで同様のモデルでゲストハウスをオープンする予定だそうです。

が一方で、東京近くの村だからこそ成功するパターンだと思うので、地方で同じようなやり方をやってもうまくいくかどうかは少し疑問です。(例えば東京の近くだからこそ300人を改装に動員できたとか、東京圏にいる人たちは学び意識が高いとかってことです。)

All photo by 東京へんぼり堂

金沢のゲストハウス「Good Neighbors Hostel」のオーナー。2軒目の「Blue Hour Kanazawa」開業しました。

 - ゲストハウスをつくる , ,

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