ホテル/ゲストハウスマーケティング

「マイカー親子4人」にターゲットを絞った旅籠屋の事業モデルを考える。

最近車で関東郊外を走っていると、ロードサイドに、決まって目にする黄色の看板があります。
こんな枕を抱えた可愛いヤツです。

HATAGOYA

はじめはラブホテルかと思いましたが、ちょっと調べてみると面白い会社だったので紹介します。
素泊まりのロードサイドホテルチェーン「ファミリーロッジ旅籠屋」

旅籠屋(はたごや)とは?

旅籠屋は、いわゆるアメリカの「MOTEL(モーテル)」です。車で移動する人が、気楽に利用できる、素泊まりのロードサイドホテルのことです。

設立は1995年、すでに日本各地に45店舗!

設立は19年前の1995年。1号店は「日光鬼怒川店」だったそうです。3年後の98年にはチェーン展開に向けて動きだし、そこからはまさに快進撃。

関東以外にも関西や四国にも進出、そしてロードサイド以外にも高速道路のPAやSAにも店舗を拡大しています(全て直営)。

旅籠屋のサイトには以下のようにありました。

日本では先例のない業態の宿泊施設であり、バブル崩壊後の景気後退時期の開業ではありましたが、予想を越える多くのご利用と「こんな宿泊施設を待ち望んでいた」との声を数多くいただき、3年後の1998年からは当初の目的どおりチェーン展開に向けた活動を開始しました。

親子4人で1室1万円

どこの店舗に行っても、同じ料金で同じサービスが受けられる安心感がチェーン店の大事なポイントです。

旅籠屋は想定ターゲットを「マイカーで旅行する親子4人」と明確にしています。そして料金は1万円(軽食無料サービス)。

車で旅行すると夕食は外で食べるのが基本なので、チェックイン時間は夜23時までOK。客室の広さは25㎡、幅1.5mのベッド2台あります。そして全室インターネット接続可なのも嬉しいところです。

建物は、家賃15年間保証で、新築を借り上げ

旅籠屋はどの店舗に行っても、ほとんど同じ外観のホテルです。
それもそのはず、全て新築だからです。

旅籠屋は、遊休地を所有している人に「遊んでる土地があるなら、当社が運用しますよ!」と誘い、新しく建物を立ててもらい、それを15年間借り上げるのです。

投資額(15部屋程度の新築費用)は1億円くらいで、家賃として年間800〜1,000万ほど見込めるそうです。(表面利回りは8-9%前後)

建物維持の為の修繕費は全て旅籠屋が持ち、ホテルの運営も行うので、土地のオーナーは売上の増減による経営リスクにさらされることはありません。

運用が難しい郊外の土地を持っている人には、まさに「渡りに船」。いまでは東日本高速道路や富士急行などの大企業から、地元企業・個人までもが参画しています。

まとめ

日本ではロードサイドホテルといえばラブホテルですが、アメリカは車社会なので全国津々浦々モーテルがあるそうです。コンビニやガソリンスタンドの数よりも多いらしく、中には1000店舗以上を運営しているモーテル会社が何十社もあるそう。

旅籠屋の強みは、競合が少ない市場を選んだこと、「マイカー親子4人」にターゲットを絞ったこと、そして巧い物件取得の方法を確立したことでしょうか。

ゲストハウスに宿泊する旅行者と、旅籠屋に宿泊する旅行者は、なかなか交わることはなさそうですが、ビジネスモデルとして面白かったのでエントリーにしてみました。

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