ゲストハウスクリエイターズノート

金沢のゲストハウス「Good Neighbors Hostel」オーナーの個人ブログです。2軒目の「Blue Hour Kanazawa」開業しました。

意外と知られていない「暮らすように旅する」スタイル誕生秘話

   

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最近、この言葉をよく聞きませんか?!

暮らすように旅する

「暮らすように旅する」のか「旅するように暮らす」のか、どっちがどっちだ?と思うのは僕だけでしょうか?

メディアでも個人のツイッターでも本当によく、この言葉に遭遇します。まるで新しい旅のムーブメントのように語られていますが。

大手旅行会社クラブツーリズムでも、「暮らすように旅する」商品を販売し始めました。

のんびりとした時間が流れる昔懐かしい温泉街や自然あふれる島々。観光ツアーでは急いで通り過ぎてしまい、「せっかく来たのだからもっとゆっくり楽しみたい」と思ったことはありませんか?

じっくり滞在することで見えてくる本当の街の魅力。たっぷりと時間をかけて散策をすれば、新しい自分だけの発見があるかもしれません。また、地元の方とのふれあいも旅の楽しみのひとつです。

普段の旅行とは違う、「暮らすように旅する」旅のスタイルを始めましょう。お気に入りの場所がもっと好きになる、充実の時間をお過ごしください。

新しい旅のスタイル暮らすように旅する|国内長期滞在の旅・ツアー|クラブツーリズム

で、この「暮らすように旅する」スタイルが、真新しい旅のスタイルで、これからのムーブメントだ!みたいなことをよく聞きますが、実は全然新しくなくて、もう何十年も前から確立されています。

ただ、当時は、言葉が違いました。
はい、ここでピンと来た人は、生粋の旅人です。

「暮らすように旅する」スタイルは、何十年も前から確立されている

僕は10年ほど前に、バックパッカーとして世界一周をしたことがあります。貧乏旅行なので、宿泊する宿は1泊100円〜500円くらいのゲストハウスですが、そんな宿には決まって長期滞在している旅行者がいました。

特に観光に興味があるわけでもなく、宿でボーッとしたり、近場のレストランで地元民に混じってご飯食べたり。そう、まさに「暮らすように旅する」旅人です。

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僕も気に入った街があると、観光が終わった後も次の街へ移動せず、のんびりとその街に滞在していました。インドのバラナシやスペインのバルセロナ、コロンビアのボゴタはそれぞれ1ヶ月以上滞在しました。

こんな旅のスタイルを当時はこう呼んでいました。
(今も呼ばれているのかな?!)

沈没

ちゃんとWikipediaでも紹介されています。
沈没」を検索すると、以下のようにあります。

遊びに夢中になって仕事や用事を忘れてしまうこと。という意味があることから、長期間の海外個人旅行をしているバックパッカーなどが、旅行の本来の目的である観光を中断し、一つの街への滞在を目的としてしまうことを「沈没」と呼ぶ。

また、バックパッカーのバイブルである沢木幸太郎さんの「深夜特急」でも、インドのカルカッタ(現コルカタ)で沈没した話が登場します。

そう、随分昔から「暮らすように旅する」スタイルは存在していたのです。

「沈没」から「暮らすように旅する」へ。

しかし、当時の「沈没」という言葉は、いつでもネガティブなニュアンスで使われてきました。

ゲストハウスでなにもせずボーッと沈没している一部の人が、麻薬に手を染めたり、日本に帰る場所がない為にそこに留まっていたりするのも、「沈没」という言葉が何となく「悪」みたいな印象を与える原因だったのかもしれません。

また、「積極的に観光して海外の歴史や文化を学ぶ旅」が正義で、それ以外の旅のスタイル(沈没のような)は正義ではないという考えが、多くの旅人にあったのかもしれません。

いずれにしても、ゆっくり滞在することで本当の街の魅力や、ローカルな人たちとの結びつきを楽しみにしている旅人も、「沈没」という言葉でラベリングされてしまう時代でした。

そこで言葉の登場です。

言葉の力は本当に強い。
言葉が違うだけで、受け取る印象も大きく異なります。

ネガティブ要素満載の「沈没」という言葉が、行為は全く同じにも関わらず「暮らすように旅する」という言葉に置き換わりました。

そしたら、あら不思議。
このオシャレな響き。。

そして旅の本質は「ローカルに混じって暮らすことにあるんだ」と主張し、旧来の観光を主軸とした旅のスタイルの対抗軸として確立させたこと。

誰が考えたんでしょう、この「暮らすように旅する」という言葉。
素晴らしいコピーライティングだと思います。

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似たような例に「地域移住」という言葉があります。昔は「田舎暮らし」みたいな言葉が頻繁に使用されていたように思いますが、最近はもっぱら「地域移住」です。

「田舎暮らし」の場合、「田舎」という言葉自体がそもそもダサイし、一体誰に向けた言葉なのかが分かりませんでした。

ところが、「暮らす」という点の行為ではなく、「移住」という点と点を結ぶ線を表現したことで、この言葉の対象者は「都会」に住む人であり、「都会の忙しい生活を捨て、地方で新しいライフスタイルを営む」というニュアンスが含まれるようになりました。

最近、「地方」が見直されつつあるのも、この言葉が果たした役割が大きいのではないでしょうか?

終わりに

言葉の違いだけで、人を動かすだけのムーブメントを形成できれば、「コピーライティング」冥利につきますね。

この「暮らすように旅する」スタイルが定着し、日本人が日本中を暮らすように旅するには、「長期休暇」の導入や、オフィスに通勤する必要のない新しいワークスタイルが求められます。

はたして。

金沢のゲストハウス「Good Neighbors Hostel」のオーナー。2軒目の「Blue Hour Kanazawa」開業しました。

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